免疫

上: 脳の冠状断面 World J Surg Onc 4:85、2006。CC BY

数千の死後脳サンプルを対象とした新たな研究によると、自閉症を含む一部の神経疾患や精神疾患を患う人々の脳では、免疫系の機能に関与する遺伝子の発現パターンが非定型的であることが明らかになった。

研究された1,275個の免疫遺伝子のうち、60パーセントにあたる765個が、自閉症、統合失調症、双極性障害、うつ病、アルツハイマー病、パーキンソン病の6つの疾患のいずれかを患う成人の脳内で発現の上昇または低下を示した。 ニューヨーク州シラキュースにあるアップステート医科大学の精神医学および行動科学の主任研究員教授チュンユー・リウ氏は、発現パターンは症状によって異なり、それぞれの症状に明確な「特徴」があることを示唆していると述べた。

免疫遺伝子の発現は炎症のマーカーとして機能する可能性があるとリュー氏は言う。 このような免疫活性化、特に子宮内での免疫活性化は自閉症と関連しているが、そのメカニズムは明らかではない。

「私の印象では、免疫系は脳疾患においてそれほど重要な役割を果たしていないのです」とリュー氏は言う。 「それは主要なプレーヤーです。」

ウィスコンシン大学マディソン校の生物心理学の名誉教授クリストファー・コー氏は、免疫活性化が何らかの症状の一因となる役割を果たしたのか、あるいはその状態自体が免疫活性化の変化を引き起こしたのかをこの研究から識別することは不可能だと語る。作品。

「死後の脳の研究は有益です」とコー氏は言う。 「しかし、決定的なものではありません。」

Liu氏と彼のチームは、2,467個の死後脳サンプル中の1,275個の免疫遺伝子の発現レベルを分析した。そのうち103個は自閉症の人から、1,178個は対照者からのものであった。 データは、2 つのトランスクリプトミクス データベース (ArrayExpress と Gene Expression Omnibus) および以前に発表されたその他の研究から取得したものです。

自閉症者の脳には、平均して275個の遺伝子があり、その発現レベルは対照の脳とは異なっていた。 アルツハイマー病患者の脳には638個の差次的に発現する遺伝子があり、次に統合失調症(220個)、パーキンソン病(97個)、双極性障害(58個)、うつ病(27個)の脳が続いた。

自閉症の男性の発現レベルは自閉症の女性よりもばらつきが大きかったが、うつ病の女性の脳はうつ病の男性の脳よりもばらつきが大きかった。 他の 4 つの条件では性差は見られませんでした。

自閉症関連の発現パターンは、他の精神疾患よりも、アルツハイマー病やパーキンソン病などの神経学的疾患の発現パターンによく似ていました。 神経学的状態は、定義上、パーキンソン病の特徴であるドーパミン作動性ニューロンの喪失など、脳内に既知の物理的特徴を持っている必要があります。 研究者らは自閉症のそのような兆候を発見していません。

「この[類似性]は、私たちが検討すべき何らかの追加の方向性を提供しているだけです」とリュー氏は言う。 「もしかしたら、いつか病理がもっと理解できるようになるかもしれない。」

この研究結果は、11月に『Molecular Psychiatry』誌に掲載された。

CRH と TAC1 の 2 つの遺伝子は、これらの症状の中で最も一般的に変化します。CRH はパーキンソン病を除くすべての症状で下方制御され、TAC1 はうつ病を除くすべての症状で下方制御されます。 どちらの遺伝子も、脳の免疫細胞であるミクログリアの活性化に影響を与えます。

コー氏によれば、ミクログリアの異常な活性化は「正常な神経新生とシナプス形成を狂わせ」、どの症状でも同様にニューロンの活動を混乱させている可能性があるという。

アストロサイトとシナプスの機能に関与する遺伝子は、自閉症、統合失調症、双極性障害の人でも同様に発現していることが、死後の脳組織を対象とした2018年の研究で判明した。 しかし、ミクログリア遺伝子は自閉症だけで過剰発現していることがその研究で判明した。

より強く上方制御された免疫遺伝子を持つ人々は、「神経炎症状態」を患っている可能性がある、とデンマークのコペンハーゲン大学教授で生物学的精密精神医学の研究責任者を務めるマイケル・ベンロス氏は言う。彼はこの研究には関与していない。

「これらの潜在的なサブグループを特定し、もちろんそれらにさらに特異的な治療を提供することは興味深いかもしれません」とベンロス氏は言う。

脳組織サンプルで観察された発現変化のほとんどは、同じ症状を持つ人々の血液サンプルの遺伝子発現パターンのデータセットには現れなかったことが研究で示された。 この「やや驚くべき」発見は、脳組織を研究することの重要性を示していると、この研究には関与していないカリフォルニア大学デイビスMIND研究所の精神医学および行動科学のシンシア・シューマン教授は述べている。

「脳について知りたければ、脳そのものを見なければなりません」とシューマンは言う。

Liu 氏と彼のチームは、炎症が脳の状態の発症に寄与する要因の一つであるかどうかをよりよく理解するために細胞モデルを作成しています。

この記事は元々、自閉症研究ニュースの大手サイトである Spectrum に掲載されたものです。 この記事を引用します: https://doi.org/10.53053/UWCJ7407